家族が統合失調症と診断されたら

統合失調症の回復のために家族ができること

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どんな病気?

統合失調症とは、何らかの原因によって、脳内の精神機能のネットワークがうまく働かなくなった状態をいいます。

統合失調症の症状

様々な情報や刺激に脳が過敏になり、感情や思考をまとめ上げる(統合する)という通常の働きができなくなります。MRIやCTで統合失調症患者の脳を検査すると、前頭葉や側頭葉の一部に脳の体積の減少が見られることがあります。

 
 

統合失調症の一般的な症状とは

統合失調症は脳の病変がある部位によって、症状の現れ方が異なります。あるはずの無いものが見えたり聞こえたりする陽性症状と、意欲や思考力が衰える陰性症状が代表的です。症状の一例を見てみましょう。

【妄想】

統合失調症では「誰かに見られている」「尾行されている」「盗聴されている」「誰かが噂している」「自分のことが放送されている」というような被害妄想が良く見られます。

全く根拠が無く誤った考えであっても、確信してしまうことが特徴です。根拠がないことを証明して見せたり、筋道を立てて説明しても確信をくつがえすことができません。

【幻覚】

幻覚には聞こえるはずがない声や音が聞こえる「幻聴」と、見えるはずがないものが見える「幻視」や「幻味」「幻触」などがあります。

統合失調症で最も多い幻覚が「幻聴」です。誰かに非難されたり命令されたり、複数の人が自分のことを話している声が聞こえてきます。幻聴の声と会話をしているときは、誰かと話しているような独り言を言います。幻聴が原因で被害妄想が進行するケースもあります。

統合失調症では「幻視」は比較的に少なく、かわりに体感幻覚として食事が青酸カリの味がしたり誰かに触られているというような「幻味」「幻触」が見られます。脳が溶ける、骨が崩れるという幻覚を示す例もあります。妄想と同様に、他の人が説得しようとしても確信をくつがえすことができません。

【考えがまとまらない】

考えの連携が不明瞭になり、考えと考えのつながりが解らなくなります。何を言いたいのか理解することが難しくなり、酷い場合は支離滅裂になったと思うと急に黙り込んだりするようになります。

【感情が乏しい】

喜怒哀楽の気持ちの動きが乏しくなり、感情表現が少なくなります。周囲の人たちの感情や表情を理解することも難しくなるため、誤解をすることが多くなります。人と気持ちを通わせ合うことができなくなるため、周囲の人に無関心になります。

【意欲が乏しい】

意欲がわかず仕事や勉強ができなくなります。1日中ゴロゴロしているようになり、部屋の掃除や入浴もする気になれなくなります。部屋や体が汚れても、気にならなくなります。

【行動障害】

相手の話していることが解らない、作業のミスが多くなる、行動の能率が下がるなどの症状が見られます。自分の行動を適切にコントロールしてまとめることが難しくなるため、酷いときには行動が支離滅裂に見えることもあります。

統合失調症の歴史

エジプトのパピルス文書に統合失調症と思われる、思考障害の記述が認められています。

統合失調症は古くから人間とともに存在し続けてきた病気ですが、精神の病としての統合失調症の概念が確立したのは、19世紀後半になってからのことでした。

ドイツ人医学者エミール・クレペリンは1899年に「早発性痴呆」の概念を作り上げました。症状の現れ方が様々な統合失調型の精神病を「早発性痴呆」という1つにまとめあげたことは、大きな功績と言えるでしょう。

その後「早発性痴呆」は、スイス人精神科医オイゲン・ブロイラーによって「精神分裂病」と呼ばれるようになります(1911年)。しかし「精神分裂病」という呼び名は精神そのものが分裂しているという誤解を生みやすいため、日本では全国精神障害者家族連合会の要望によって2002年に「統合失調症」と呼び名を改めました。

統合失調症の統計データ

厚生労働省の平成23年(2011年)「患者調査の概況」によると、統合失調症型障害および妄想性障害の無作為の1日の推計入院患者数は17万4,100人、推計外来患者数が6万600人、合計23万4,700人だったことが解っています。

ここから推測される全国の統合失調症患者総数は、71万3,000人におよぶと見られています。

男女比では男性が35万4,000人(49.65%)、女性が35万9,000人(50.35%)とほぼ同率になっています。しかし統合失調症特有の症状に限定した診断基準からは、男性の方が女性の1.4倍程度患者数が多いという報告もあります。発症年齢は男性の方が早く、女性では遅い傾向があります。

統合失調症と診断された入院患者総数17万4,100人の、年齢別患者数は次のようになっています。

総数 0~14歳 15~34歳 35~64歳 65歳以上 70歳以上 75歳以上
17万4,100人 200人 9,700人 9万7,300人 6万6,500人 4万4,000人 2万4,200人
100% 0.1% 5.6% 55.9% 38.2% 25.3% 13.9%
 
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