家族が統合失調症と診断されたら

統合失調症の回復のために家族ができること

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発症の原因は?

現在、統合失調症の原因として考えられていること、そして統合失調症の発症のリスクについて説明しています。

統合失調症の原因

統合失調症の原因は、いまだに解明されていません。入学や就職、結婚などの人生の岐路で発症する例が多いとされていますが、それらは発症する契機であっても原因ではないと考えられているためです。

同じような人生の岐路(転機)を経験しても、発症する人としない人がいることからも、転機が統合失調症の直接の原因ではないことが解ります。

遺伝などの素因(遺伝・人種・年齢・性別などによる素質)と、心理的・環境的要因(ストレスなど)が複雑に影響し合って発症に至るのではないかという考えが、現在では最も有力な仮説とされています。

●遺伝

一般的に統合失調症の発症率は100人に1人(0.7%~1.0%)とされています。両親のどちらかが統合失調症の場合、その子供の発症率は10%程度と一般より高い傾向にありますが、同じ素因を持った一卵性双生児の場合でも2人とも統合失調症を発症する割合は50%に過ぎません。

統合失調症患者の家族の調査でも、両親の約90%は統合失調症ではないことが解っています。このことからも統合失調症の原因を遺伝とするには無理があり、遺伝は統合失調症の多くの要因のごく一部と見なすに留めることが妥当と考えられます。

●脳の変化

統合失調症の患者の脳をMRIやCTで検査すると、脳の一部に萎縮(体積の減少)が見付かることがあります。前頭葉や側頭葉に体積の減少が見付かることが多く、とくに左側で海馬や扁桃体と呼ばれる部分の萎縮が報告されています。

しかし、脳の部分的な萎縮によって統合失調症を発症したのか、統合失調症の発症によって脳に萎縮が起こったのかは解っていません。

胎児の時に母親のお腹の中で受けたウィルス感染や栄養不良によって脳に機能障害が生じたとする説が一般的ですが、胎児期に何らかの障害があったからといって全てが統合失調症を発症するわけではないことから、これも多くの原因のひとつに過ぎないと考えられています。

●ドーパミン仮説

ドーパミン受容体の働きを阻害する抗精神病薬によって統合失調症の幻覚や妄想、興奮などの症状を抑制することができることから、ドーパミンが統合失調症の原因物質ではないかとする仮説があります。

統合失調症患者の一部では脳内のドーパミンが増加している例も見られることから、ドーパミンの増加が統合失調症を引き起こすと考える医学者も多いようです。

しかし、ドーパミンの働きを抑制する抗精神病薬では統合失調症の陰性症状(やる気が出ない、感情が乏しい)に効果がないことから、ドーパミン仮説を肯定するのには無理があるように思えます。

統合失調症の発症リスク

統合失調症の原因は解っていませんが、発症には素因(病気になりやすい体質)や環境、心理的要因などが相互に作用していると考えられています。統合失調症の発症リスクが高いと言われている要因を見てみましょう。

冬生まれ

冬場はインフルエンザなど流行性疾患が多く、母親がウィルスに感染することで胎児の発育に悪い影響を与えることがあります。また日射量が不足することで合成されるビタミンDの体内量が減少し、血液や免疫反応の阻害が影響することも考えられます。

都会育ち

都会での生活はストレスが多く、長年溜め込まれたストレスによる精神的疲労が統合失調症発症の引き金になることがあります。

母親が風疹に感染

胎児期に母親がウィルスに感染すると、胎児に悪い影響が出やすいことは知られています。中でも風疹は特に悪い影響を与えるウィルスで、胎児期に風疹ウィルスに感染すると統合失調症の発症リスクが通常の約5倍になると言われています。

妊娠時のストレス

妊娠中に身近な人が亡くなるなどの精神的ストレスを受けると、胎児の成育にも悪い影響を与えてしまいます。

違法薬物の摂取

マリファナなど違法薬物による統合失調症発症のリスクは、高いことが解っています。脳が発達段階にある成長期ではとくにリスクが大きく、15歳以前にマリファナを吸飲し始めた場合は統合失調症の発症リスクは約4.5倍になります。

 
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