家族が統合失調症と診断されたら

統合失調症の回復のために家族ができること

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陰性症状

統合失調症では日常生活や社会生活において適切な会話や行動や作業がしにくいという、生活上の障害が表われます。妄想や幻覚を陽性症状と呼ぶのに対して、これらの生活障害を「陰性症状」と呼びます。

統合失調症の陰性症状

陽性症状のように顕著な症状が出ないため、家族どころか本人にも良く解っていないことが多く、「社会性がない」「常識がない」「気配りがない」「怠け者だ」などと誤解されてしまうことがあります。陰性症状は会話や行動・感情・意欲の3つに大別することができます。

会話や行動の障害

話しのポイントがはっきりしない、話題が飛ぶ、相手の話のポイントがつかめない、作業上のミスが多い、行動の能率が悪いなど、会話や行動のまとまりに障害が生じます。病状が悪化すると会話や行動が支離滅裂に見えることもあります。

人間は無意識のうちに注意を適切に働かせながら会話や行動を目的に向けてまとめ上げていく作業をしていますが、このような知的な働きが障害されることによって起こる症状と考えられています。

感情の障害

自分の感情と他者の感情についての理解に障害が生じます。

自分の感情の障害では、「感情の動きが少ない」「物事に対して適切に感情がわかない」「感情を適切に表現することができない」「不安や緊張が強く物事に慣れない」などの症状があります。他者の感情に対する障害としては、「感情や表情が理解できない」「相手の気持ちに気が付かない」などの症状が表われるため、誤解することが多くなります。

これらの感情の障害のために対人関係で自分を理解してもらうことや、相手と気持ちを交流させることが苦手になります。

意欲の障害

仕事や勉強をする気になれずゴロゴロしてばかりいる「無為」の症状があらわれます。部屋が散らかっていても整理整頓や掃除をする気になれず、入浴や洗面など身辺の清潔にも関心が無くなります。

他人と交流を持とうとする意欲や会話をしようとする意欲も障害されるために、無口になり閉じこもって生活するようになる「自閉」の症状が表われることもあります。

陰性症状の問題点

陰性症状は対人的なコミュニケーションを阻害するため、社会的機能を回復していく上で問題になりやすい症状です。統合失調症が治癒したように見えても陰性症状が残っていることも多く、それが原因で社会復帰できないまま再発を繰り返してしまう場合もあるようです。

家族や周囲から見ると治癒したように見えるため、「怠けているだけ」「気がたるんでいる」などと言われることもあり、患者本人の苦しさが理解されにくいという問題点もあります。

陰性症状に対する家族の対応

社会復帰して欲しいという気持ちは家族も同じで、ついつい「ゴロゴロしていてはダメだ」とか「いつから働き出すんだ」「薬はいつまで飲むんだ」などと言ってしまいがちになります。「誰だってそういうときはあるから」などと本人にとっては慰めとしか感じられない言葉をかけてしまうこともあるでしょう。

統合失調症の陰性症状では批判的な言い方をされたり非難がましく言われる、おろおろと心配されることが、本人の大きな負担になってしまいます。原因を探し出そうとするのではなく、具体的な解決策を一緒に考えるという接し方が患者本人にとっては最も有り難く感じられるかも知れません。

また家族の中には、「自分の育て方が間違っていたから、こんな病気になった」と自分を責める人もいますが、育て方によって統合失調症が発症するというのは全く医学的に根拠がありません。

自分の責任を強く感じ過ぎてしまって「生活を全て犠牲にして治療のために捧げる」と言うご両親もいますが、自分のために家族が犠牲になっていると感じることは本人にとっても大変辛いことです。自分の人生を大切にすることが、結果として良い方向性を生み出すのではないでしょうか。

 
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