家族が統合失調症と診断されたら

統合失調症の回復のために家族ができること

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認知機能障害

認知機能障害(認知障害)は統合失調症に見られる特徴的な症状です。

人間の脳はある作業をするときに作業過程を一時的に脳に保存(記憶)することで、状況の変化に対応して素早く適切な判断を行うことができます。この働きを認知過程と呼びます。この機能に障害が生じた状態が認知機能障害(認知障害)で、認知過程での一時的な記憶がうまく働かなくなるために複数の情報処理を伴う能動的な思考が困難になります。

統合失調症の認知機能障害とは

次のような問題を例として考えてみると、認知障害がどういうものか理解しやすいでしょう。

【例題】
次の文章で「?」に入る数字を答えなさい。

「?円の 8本買って 缶ジュースを もらった 1000円札を出して おつりを 1本120円の」

答えを考えるためには先ず、問題文を意味が通じるように並べ替える必要があります。
「1本120円の缶ジュースを8本買って1000円札を出して?円のおつりをもらった」これを一時的に脳に記憶して「120円×8本 = 960円」の計算結果もまた一時的に記憶します。その記憶から「1000円- 960円 = 40円」という答えを導き出すことができます。

この秒単位で行われている一時的な記憶ができなくなった状態が、認知障害です。このように複数の情報を結びつけて考えることを統合と呼び、この統合機能が失調した状態が統合失調なのです。

認知障害の問題点

認知障害では集中力や記憶力、整理能力、計画能力、問題解決力などの能力が著しく低下します。そのため人の話を聞いても、それぞれの単語の意味は解っても何を伝えようとしているのかが理解しにくくなります。「たとえば」という表現で話される比喩表現を実際のことと比較して理解することも困難です。

自分から人に対して話すときも、難しい言葉をまじえながらよどみなく話すのに意味が全く解らないというようなことが起こります。

家族や周囲の人と意思の疎通が難しくなるため、協調性や社交性にも支障を来しますが、それを何とも感じなかったり考えが全く別の方向を向いてしまうこともあります。他人からは理解されにくい症状のため、近所付き合いや職場、学校などでの生活が困難になってしまうことも多いようです。

認知障害に対する家族の対応

認知機能障害に直面した家族は驚きや戸惑い、ときには苛立ちさえ感じることがあるでしょう。「なぜ自分だけがこんな目にあうのか」と否定的な感情や孤独感に苛まれることもあるかも知れません。

家族の方が先に投げやりな気持ちになってしまうと患者が治癒する希望も先細りになってしまうので、統合失調症の家族会などに参加して同じ悩み、苦しみを持つ人たちと交流を持つようにすることで心の支えを得るようにすると良いかも知れません。家族がしっかりしていてくれることが、本人にとっては最も安心だからです。

認知障害のときの家族の対応について、一般的なものを上げてみましょう。

(1)認知機能障害についての知識を持つ

統合失調症における認知機能障害とはどういうものか、しっかりとした知識を持って理解することが大切です。病気についての理解が深まることで患者の行動に対する理解も深まり、「私がそばにいるから大丈夫だよ」という気持ちが態度に表れて患者の気持ちを落ち着かせる助けになります。

(2)なるべくストレスを避ける

認知障害で苦しんでいる本人にとっては、できないことがストレスになります。また情報を処理する能力に障害が出ているため、慣れない環境や慣れない人と対することが大きなストレスになります。なるべく本人がストレスを感じずに生活できるように、馴染んだ環境で療養することも大切です。

(3)一緒にゆっくり楽しく

認知機能が低下することで情報処理に時間が掛かるようになります。家族がうまく対応することはとても難しいと思いますが、できるだけ一緒に、ゆったりした気持ちで、可能ならばそうした付き合いを楽しむように接することができれば本人にとって大きな喜びになるでしょう。

(4)1人で抱え込まない

統合失調症の治療は決まった期間で完了するものではありません。再発を繰り返さないためにも、長い目でじっくりと治療を続けることが必要です。1人で全て抱え込もうとすると心身ともに疲れて、気持ちにも余裕が無くなってしまうことがあります。家族の協力も得て、本人が希望するならデイケアなどの施設を利用することも考えてみると良いでしょう。

 
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