家族が統合失調症と診断されたら

統合失調症の回復のために家族ができること

統合失調症患者さんのご家族へ

「家族が統合失調症と診断されたら」は、統合失調症という病気についての正しい知識、回復をサポートする家族のかかわり方など、患者さんのご家族の方に向けて情報を発信したサイトです。

統合失調症は完治しない病気ではない

統合失調症の治療について

統合失調症を治療するための抗精神病薬も、研究の進歩によって開発が進められ、予後にも明るい兆候が見え始めています。

比較的早期に適切な治療を始めた患者の場合、すっかり治癒したり軽度の障害が残るのみという良好な結果が得られる割合は、50%~60%と高い数字が示されています。

これは過去の統計から計算された数字なので、医療技術や薬剤が進歩している現在では、もっと高い治癒率になると考えて良いでしょう。

 

あきらめずに根気よく治療を続けよう

厚生労働省のホームページでは、統合失調症の治療で重度の障害を残す割合は、わずか10%~20%とされています。

症状があらわれてから薬物治療を開始するまでの期間が、その後の経過に大きく影響してくるので、早期発見・早期治療が大切となります。

 

統合失調症の回復に効果が認められる薬剤と健康食品一覧

統合失調症の治療薬

ある男性の36年におよぶ統合失調症の治療データを例に、この男性の症状に有効であった抗精神病薬、健康食品(サプリメント)を紹介します。

※薬や健康食品の効果には個人差があります。

名称/分類 患者本人の感想 特徴
オランザピン
(抗精神病薬)
それまで服用したどの薬よりも、自分に合っていると思えた。はじめて気分が明るくなったが、充分な意欲は出なかった。水分過剰摂取が25%減った。 アメリカで開発された非定型抗精神病薬。アメリカでは最も多く使用され、うつ症状の改善効果もあります。商品名はジプレキサ。不眠や眠気、体重増加などの副作用が出ることもあります。
アリピプラゾール
(抗精神病薬)
水分の過剰摂取が明らかに減り、半分くらいになった。朝と夜の体重の差も、ほとんど消失した。3mgから6mgと様子を見ながら最終的に24mgまで増やしたが、副作用が出にくかった。 日本で開発された非定型抗精神病薬。バーシャルアゴニスト(部分作動薬)と呼ばれる種類の薬で、従来の抗精神病薬が脳内のドパミンの分泌を抑制し過ぎてしまうために発症するパーキンソン症候群を防ぐ働きがあります。
アミロバン3399
(健康食品)
気分が明るくなって意欲が出てきた。人と接するのが楽しくなり、学習意欲も出てきた。服用前には続いていた幻聴や妄想も、まったく出なくなった。 アミロバン3399はヤマブシタケから抽出したアミロバンとヘリセノン類を、それぞれ6%、0.5%以上に規格化した原料から製造されています。ヤマブシタケの成分のヘリセノン類が神経成長因子の合成を促進して認知症などの機能障害を改善することは知られていますが、ヤマブシタケから新たに発見されたアミロバンは脳の神経細胞死をもたらすアミロイドベータの毒性を抑制することが解りました。アミロバン3399の投与による統合失調症の治療では劇的な改善例が見られました。

男性が服用した薬・健康食品の一覧≫

症状が出現したときの家族の対応

統合失調症の理解は、まず病気の正しい知識を持つことから始めると良いでしょう。統合失調症には陽性症状・陰性症状・認知機能障害があります。

陽性症状

統合失調症の「陽性症状」は、急性期(発病初期)に見られる症状です。
主に妄想や幻覚などがあらわれます。妄想や幻覚には現実と非現実の境界が顕著にぼやけ、思考の一貫性が低下して会話のまとまりがなくなるなどの症状を伴うこともあります。

妄想は事実と異なる内容を信じ込んでしまい、周囲が幾ら説明しても受け入れることができなくなります。妄想には、【迫害妄想】【関係妄想】【注察妄想】【追跡妄想】などがあります。

統合失調症の幻覚には視覚だけではなく聴覚や嗅覚、味覚、触覚など人間の五感に働きかける様々な幻覚があります。統合失調症に多く見られるのは聴覚に働きかける幻聴で、誰もいないのに人の声が聞こえてきたりします。

代表的な幻聴は「お前は泥棒だ」などと本人を批判するような内容や「あっちに行け」と命令する内容、「今トイレに入りました」などと実況放送をしているような内容などです。幻聴に聞き入ってニヤニヤしたり幻聴と会話してぶつぶつ独り言を言ったりするため、周囲からは気味悪がられて苦しさを理解されにくい場合も少なくありません。耳元で絶えず誰かが自分の悪口を言っているような幻聴の場合には、物事に集中できなくなったり、眠ることさえ難しくなってしまいます。

家族にできること

妄想や幻覚などの陽性症状では、本人の苦しさを理解することが大切です。病気の苦しみを理解することなど到底できないことでしょうが、本人が苦しんでいるという事実を肯定することならできるはずです。

苦しさ、辛さを肯定して共感すること、苦しさを共有することが周囲の人間が統合失調症患者に対してできる唯一のことと言っても良いでしょう。

肯定する、共感すると言っても、ただ「そうだ、そうだ」と言えということではなく、苦しみの一部を一緒に背負うということ…。家族にとっても辛い状況ではありますが、本人の苦しさはそれ以上だということを理解して、少なくとも家族の信頼関係を失わないように努力します。

陰性症状

統合失調症の陰性症状には、会話や行動の障害、感情の障害、意欲の障害などがあります。陽性症状のように顕著な症状が出ないため周囲どころか本人にも良く解っていないことが多く、「社会性がない」「常識がない」「気配りがない」「怠け者だ」などと誤解されてしまうことが多いのが陰性症状の特徴です。

他人と交流を持とうとする意欲や会話をしようとする意欲も阻害されるために、無口になり閉じこもって生活するようになる「自閉」の症状が表われることもあります。

家族にできること

陰性症状では統合失調症の症状が治まっているように見えるため、家族はついつい、「ゴロゴロしているからいけないんじゃないか」とか「いつから働き出すんだ」「薬はいつまで飲むんだ」などと言ってしまうことがあります。

しかし陰性症状では批判的な言い方をされたり非難がましく言われる、おろおろと心配されることが、本人の大きな負担になってしまいます。原因を探し出そうとするのではなく、具体的な解決策を一緒に考えるという接し方が、患者本人にとっては最もありがたく感じられるかもしれません。

また家族の中には「自分の育て方が間違っていたから、こんな病気になった」と自分を責める人もいますが、育て方によって統合失調症が発症するというのは全く医学的に根拠がありません

自分の責任を強く感じ過ぎてしまって「生活を全て犠牲にして治療のために捧げる」と言う親もいますが、自分のために家族が犠牲になっていると感じることは本人にとっても大変辛いことです。自分の人生を大切にすることが、結果として良い方向性を生み出すのではないでしょうか。

認知機能障害

認知機能障害(認知障害)は統合失調症に見られる特徴的な症状です。人間の脳はある作業をするときに作業過程を一時的に脳に保存(記憶)することで、状況の変化に対応して素早く適切な判断を行うことができます。この働きを認知過程と呼びます。

この機能に障害が生じた状態が認知機能障害(認知障害)で、認知過程での一時的な記憶がうまく働かなくなるために、複数の情報処理を伴う能動的な思考が困難になります。

家族にできること

認知障害で苦しんでいる本人にとっては、できないことがストレスになります。また情報を処理する能力に障害が出ているため、慣れない環境や慣れない人と対することが大きなストレスになります。なるべく本人がストレスを感じずに生活できるように、馴染んだ環境で療養することが大切です。

情報処理に時間がかかるようになるのが認知機能障害の特徴です。家族がうまく対応することはとても難しいと思いますが、できるだけ一緒に、ゆったりした気持ちで、可能ならばそうした付き合いを楽しむように接することができれば本人にとって大きな喜びになるでしょう。

本人が希望するならデイケアなどの施設を利用することで、家族の負担を少なくすることも大切です。

まずは病気についての正しい知識を持ちましょう

統合失調症の基礎知識

統合失調症に直面した家族の驚きや戸惑いは大きなもので、ときには諦めや否定的な感情に苛まれることもあるでしょう。しかし、はじめから病気と上手く付き合うことができないのは仕方のないことです。

統合失調症ではいかに早く治療を始めるかが回復のカギになります。
統合失調症の症状は病状の進行に合せて、少しずつ変化していきます。治療法はもちろん、症状や経過についての正しい知識を持ち、本人の症状に合わせて、どのように対応するか考えておくと戸惑いも少なくてすむかもしれません。

 

【注意事項】
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統合失調症が疑われる方は、自己判断せず必ず医療機関を受診してください。

 
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